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2025年11月23日日曜日

【色覚多様性】補正メガネが教えてくれた「脳の学習」と、僕が生きる2つの世界

 昭和の時代をご記憶の方なら、「良導絡(りょうどうらく)療法」という言葉に聞き覚えがあるかもしれません。 かつて、「色覚異常(色盲・色弱)が治る」という触れ込みで一世を風靡した電気針治療の一種です。私も昔、淡い期待を抱いて試した一人でした。

現代医学の結論から言えば、先天的な遺伝子特性である色覚そのものが、こうした治療で「完治」することはありません。 しかし、当時の私が必死に取り組んだあの行動や体験がすべて無駄だったかというと、決してそうではありません。むしろ、実態はもっとポジティブなものでした。

完治はせずとも、当時の私は主観的に「見えやすくなった」という一定の効果を確かに感じていました。それは、自律神経を整え、血流を良くすることで、疲労で落ちていたパフォーマンスを本来の状態に戻す――そんな「身体のメンテナンス」としての効果が、私の視覚ポテンシャルを最大限に引き出してくれていたのだと、今でも肯定的に捉えています。

けれど、私の視覚世界をさらに劇的に変えたのは、精神論や体質改善ではなく、もっと物理的で、かつ脳科学的なアプローチでした。 それが、**「色覚補正メガネ」**です。

今回は、このメガネを通じて私が体験した「脳の学習能力」の凄さと、色覚特性を持つ者だけが味わえる「2つの世界」についてお話しします。

緑が「明るすぎる」私の世界と、ピンク色のレンズ

一口に色覚異常といってもタイプは様々ですが、私は分類上「緑色弱(2型)」の傾向があります。 私の目には、自然界の「緑」が健常な方よりも遥かに明るく、輝度が高く映ります。まるで蛍光色のように緑が主張してくるのです。その反面、「赤」はくすんで暗く沈んで見えます。

このバランスを整えるために私が選んだのは、ピンク色のフィルターレンズでした。 理屈はシンプルです。ピンクは緑の補色。このレンズを通すことで、私にとって過剰な「緑の光」を物理的にカット(減光)してしまうのです。

するとどうなるか。圧倒的な緑の眩しさが抑えられ、それまで埋もれていた「赤」の成分が相対的に浮かび上がってきます。初めてこのメガネをかけた時、色の区別がついたこと以上に、「世界にはこれほど奥行きがあったのか」というコントラストの変化に驚かされました。

メガネが「教師」になり、脳が学習する

中でも特に印象的だったのは、ふと目に入った桜の花を見た時のことです。 それまで私は、桜はずっと「ただの白い花」だと思っていました。「桜色」という言葉があるのは知っていても、私にはその本当の意味(色味)がわからず、ただ白い花弁の集まりとしてしか認識できていなかったのです。 世の中の多くの人が愛でている「桜色」を知らずに生きてきたわけですから、ある意味で、私はずっと損をしていたのかもしれません。

しかし、補正メガネを通して見た瞬間、衝撃が走りました。 そこには、これまで見たことのない、淡く、それでいて確かに主張する美しい色がついていたのです。

「ああ、桜の花にはこんな色があったんだね。みんなはずっと、この美しさを見ていたのか……」

いい歳をして初めて知ったその事実に、これまでの自分を少し気の毒に思うと同時に、ようやく本当の桜に出会えたという深い感動がありました。

そして、さらに驚くべきことが起きました。 この「正解」を知ってからというもの、今では補正メガネなしの裸眼の状態でも、桜の花がちゃんと「ピンク」に見えるようになったのです。

誤解しないでいただきたいのは、決して**「色覚が改善した」わけではない**ということです。網膜のセンサーは変わっていないのですから。変わったのは、情報を受け取った脳の情報処理能力や認識能力の方でした。

これを専門的には**「知覚学習(Perceptual Learning)」**と呼ぶそうです。 補正メガネで見える「色分けされた正解の世界」を脳にインプットし続けることで、脳の中にデータベースが構築されます。

「あ、今まで白く見えていた桜の花の色は、実はピンク(桜色)だったんだな」

脳がそのパターンを学習すると、メガネを外した裸眼の状態でも、桜の花の色はピンクだと認識できるようになったのです。

ハードウェア(目)は変わらなくても、ソフトウェア(脳)のアップデートによって、認識力は拡張できる。その事実を、私は身を持って体験しました。



「弱点」と「最強」が同居する、2つの視覚

さて、補正メガネを手に入れた私は、今や「正常色覚に近い世界(メガネあり)」と「私の本来の世界(裸眼)」の2つを選択できるようになりました。 この比較実験を繰り返す中で、私の本来の目には、一般の方にはないユニークな特性――ある種の**「強み」**があることにも気づきました。

例えば、「赤いバッグの中にある、緑色の文字」。 一般色覚の方にとっては「補色同士の派手な配色」に見えるでしょう。しかし、私の目にはもっと劇的なコントラストとして映ります。 私にとって赤は「黒に近い暗い色」、緑は「発光するような明るい色」。つまり、この配色は私にとって「黒地に光るネオンサイン」のように、最強の視認性を誇るのです。


結論:特性をハック(攻略)して生きる

街路樹の緑に埋もれる赤信号など、日常生活にはまだヒヤリとする場面はあります。 しかし、自分の目の特性(緑が明るく、赤が暗い)をロジカルに理解し、補正メガネというツールで「一般の人の見え方」もシミュレーションできるようになった今、私はこの目を不便な欠陥だとは捉えていません。

私には、一般の人には見えない「光と影のコントラスト」が見えています。そして必要な時には、科学の力で「色彩の世界」も覗くことができます。 治す・治さないという古い議論を超えて、自分の身体特性を理解し、ツールを使ってハックする。そんな付き合い方が、これからのスタンダードになっていくのではないでしょうか。

ただ、ダルトンの色覚補正メガネは高すぎますね。普通のメガネくらいの値段にして普及させてもらいたいものですよね。

ダルトンで作るときほど、細かく色合わせをしなくても、色の方向性がわかれば多少違っても効果はあると、今の私はダルトンで作ったのとは違うピンクレンズのサングラスを利用しています。

2018年5月24日木曜日

美美ピンクというサングラスを色覚補正メガネ代わりに使ってみた。

超久々の投稿です。


東海光学という会社から「美美Pink」というサングラスが販売されています。


「特別なピンクの波長がキレイを刺激」なんてキャッチコピーで売られています。
キレイを刺激するかどうかは、いいのですよ。
色覚補正用として使えるかどうかが興味の対象。

今でも色覚補正メガネをちょくちょく使っています。
このページに、ダルトンで買った色覚補正メガネの写真を載せています。



解りにくいですけれど、ピンク色のレンズです。
この「美美Pink」というサングラスもピンクです。

これって上手くいくと使えないかなとという発送で、ここは人柱となり買ってみなければと買ってみました。
メガネの上からでも装着できるオーバーグラスタイプを購入

「美美Pink」のパッケージ


キャッチコピーからもわかるように、完璧に女性のみを対象としたパッケージデザイン。

「美美Pink」メガネケースもピンクの袋
付いているメガネケースの袋もピンクの女子仕様

レンズはしっかりしたピンク

レンズもキッパリと「ピンク」でした。
これを掛けるとちょっと目立ちますが、ダルトンの色覚補正メガネのように表面反射のギラギラがなく、それよりは目立たないかと思います。

見え方の感想

結論からすると、とても良いです。
8万円もするダルトンの色覚補正メガネは、高価なだけあって取扱いに気を使いますが、この美美Pinkは、送料込みで14000円弱と安い分取扱いも気軽です
オーバーグラス形式なので、簡単にメガネの上からも使えて便利
(オーバーグラスではないタイプもあります)

メガネを使うようになってから、ダルトンの色覚補正メガネを、眼鏡のクリップオンに改造しましたが、ダルトンの色覚補正メガネはレンズ表面の反射が強いので、眼鏡に重ねると反射光がギラギラしてとても見にくいので、正直使うのが嫌になっていました。

美美Pinkだと、そのようなレンズ表面反射があまりないので、快適に使えます。


色の見え方

ピンクのレンズを使って補正する色弱の人には良いと思います。

私は、石原式色覚検査表の特にこのタイプが見えないのですが、ピンクのレンズを付けるとはっきり見えます。

この図が見えない人は、私と同じように「美美Pink」の効き目があるかもしれません。

より正確に確かめるには、ピンクのセロファンを買って、それで石原式色覚検査表をネットで探して、どういう感じに見えるのかを確かめればよいと思います。

より簡易的な方法で試すには、文法具店などで売られている暗記用の緑と赤のチェックシートを使い、赤のシート越しに見て、石原式色覚検査表の正答が増えるなら、「美美Pink」は使える可能性が高いです。緑のシートでよく見えるという色弱なら効果はないでしょう。

「美美Pink」には、ダルトンの色覚補正メガネのように、色に種類がないので、自分に最適なものを選べないのは欠点ですが、運良く使える範囲の色弱の人にはとても良いです。

私にとっては、「少しピンクが濃いかな」と思いましたが、しばらくして目が色順応した後は、白のものは白く見えるし、赤い色は映えて見えると問題はないです。
チェックシートの赤を使えば式各県差表をクリアするのは楽々ですが、見るもの全てが赤みかがってしまいます。オーバー補正のわかり易い例です。これでは意味がありませんよね。私が目安としたのは「白いものが白と認識できる」程度の補正ならばよいのかなと思っています。というわけで、私にとって「美美Pink」は合格です。

参考までに、美美Pinkを掛けて、石原式色覚検査表を使って確認したら1ミスくらいになりました。補正なしだとミス多数です。ダルトンの色覚補正メガネでは、全部正解になります。

色覚検査表のミスは残りますが、色は十分見えるようになることと、手軽に使えるのと、ダルトンメガネのようにギラギラしないのでメガネと重ねても見易いという利点も多いので、これは買ってよかったなと思っています。